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「太平記」亀寿殿令落信濃事付左近の大夫偽落奥州事(その6)

その後残し置いたる侍ども、中門に走り出で、「殿は早や御自害あるぞ。心ざしの人は皆御伴申せ」と呼ばはつて、屋形に火を懸け、忽ちに煙の中に並居なみゐて、二十にじふ余人の者どもは、一度に腹をぞ切つたりける。 これを見て、庭上・門外に袖を連ねたるつはものども三百余人、面々に劣らじと腹切つて、猛火みやうくわの中へ飛んで入り、かばねを不残焼け死にけり。さてこそ四郎左近の大夫入道の落ち給ひぬる事をば不知して、自害し給ひぬと思ひけれ。その後西園寺の家に仕へて、建武の頃京都の大将にて、時興ときおきと被云しは、この入道の事なりけり。




その後残し置いた侍どもは、中門に走り出て、「殿(北条泰家やすいへ)はすでに自害された。心ざしある人は皆お伴申せ」と叫んで、館に火を懸け、たちまち煙の中に並んで、二十余人の者どもが、一度に腹を切りました。これを見て、庭上・門外に集まった兵ども三百余人も、面々に心ざし劣らじと腹を切って、猛火の中へ飛んで入り、屍も残さず焼け死にました。これは四郎左近大夫入道(北条泰家)が落ちたことを知らずして、自害したものと思われました。(泰家は)その後西園寺(西園寺公宗きんむね)の家に仕えて、建武の頃京都の大将となりました、時興というのは、この入道のことでした。


続く


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by santalab | 2016-02-09 08:34 | 太平記 | Comments(0)

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