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「太平記」細川相摸守討死事付西長尾軍事(その5)

案の如く相摸のかみこれを見て、敵は西長尾のじやうを攻め落として、後ろへ廻らんとたくみけるぞ。中院なかのゐん殿に合力せでは敵ふまじとて、舎弟左馬の助、従兄弟の掃部かもんの助を両大将として、千余騎の勢を西長尾の城へ差し向けらる。新開元より城を攻めんずる為ならねば、わざと日を暮らさんと、足軽少々差し向けて、城の麓なる在家所々焼き払ひて、向かひ陣をぞ取つたりける。城はなほ大勢なれば、あはれ新開が寄せて攻めよかし。手負ひ少々射出だして後、一度にばつと駆け出でて、一人も残らず討ち止めんとぞ勇みける。夜すでに深ければ、新開向かひ陣にかがりを多く焚き残して、山を越える直道すぐみちのありけるより引つ返して、相摸の守の城の前白峯しらみねの麓へ押し寄する。予て定めたる合図なれば、同じき二十四日の辰の刻に、細川右馬のかみ五百余騎にて搦め手へ廻り、二手に分かれて鬨の声をぞ上げたりける。




思った通り相摸守(細川清氏きようぢ)はこれを見て、敵は西長尾城(現香川県丸亀市綾歌町)を攻め落として、背後に廻ろうと考えておる。中院殿と力を合わせなくては敵うまいと、舎弟左馬助、従兄弟の掃部助を両大将として、千余騎の勢を西長尾城へ向かわせました。新開(新開真行さねゆき)は元より城を攻めるつもりはありませんでしたので、徒らに日を暮らそうと、足軽を少々差し向けて、城の麓の在家を所々焼き払い、向かい陣を取りました。城には大勢が籠もっていましたので、新開が寄せて攻めて来るのを待ち構えました。手負いを少々射出した後は、一度にぱっと駆け出て、一人も残らず討ち止めようと勇み構えました。夜が更けると、新開は向かい陣に篝火を多く焚き残して、山を越える直道があったので引き返して、相摸守(細川清氏きようぢ)の城の前白峯(現香川県坂出市にある白峯寺)の麓に押し寄せました。あらかじめ合図を定めていましたので、同じ二十四日の辰の刻([午前八時頃])に、細川右馬頭(頼之)は五百余騎で搦め手([城の裏門や敵陣の後ろ側を攻める軍勢])に廻り、二手に分かれて鬨の声を上げました。


続く


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by santalab | 2016-02-11 08:30 | 太平記 | Comments(0)

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