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「太平記」五大院右衛門宗繁賺相摸太郎事(その4)

昨日きのふまでは天下の主たりし相摸入道にふだうの嫡子にてありしかば、仮初めの物詣ものまうで・方違かたたがひと云ひしにも、御内・外様の大名ども、細馬さいばくつばみを噛ませて、五百騎・三百騎前後に打ち囲うでこそ往覆わうふくせしに、時移り事替はりぬる世の有様の浅ましさよ、怪しげなる中間ちゆうげん一人に太刀持たせて、伝馬てんまにだにも乗らで、れたる草鞋わらぢ編笠あみがさ着て、そことも不知、泣く泣く伊豆の御山をたづねて、足に任せて行き給ひける、心のうちこそあはれなれ。




(北条邦時くにときは)昨日までは天下の主であった相摸入道(鎌倉幕府第十四代執権、北条高時たかとき)の嫡子でしたので、ちょっとした物詣で・方違えでも、身内・外様の大名どもが、細馬([上等の馬])に轡を噛ませて、五百騎・三百騎が前後に打ち囲んで往来していましたが、時移れば事替わる世の様の浅ましさよ、身分の賎しい中間([侍の下位の者])一人に太刀を持たせて、伝馬([逓送用の馬])にも乗らず、破れた草鞋に編笠をかぶり、どことも知れず、泣く泣く伊豆の御山を尋ねて、足に任せて歩む、心の内こそ哀れでした。


続く


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by santalab | 2016-02-23 07:59 | 太平記 | Comments(0)

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