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「太平記」僧徒六波羅召捕事付為明詠歌の事(その4)

詩歌しいかは朝廷のもてあそぶところ、弓馬は武家の嗜む道なれば、そのならはし未だ必ずしも、六義りくぎ数奇の道にたづさはらねども、物相感あひかんずる事、皆自然なれば、この歌一首の感に依つて、嗷問がうもんの責めを止めける、東夷の心のうちこそやさしけれ。力をも入れずして、天地あめつちを動かし、目に見へぬ鬼神おにがみをもあはれと思はせ、男女をとこをんなの中をもやはらげ、猛き武士もののふの心をも慰むるは歌なりと、紀貫之が古今の序に書きたりしも、ことわりなりと思えたり。




詩歌は朝廷の好むところ、弓馬は武家の嗜む道でしたので、それ故に、六義([詩の六種の分類])数奇の道には馴れていませんでしたが、風情を感じることは、自然のことでしたので、この歌一首に感じて、拷問の責めを止めた、東夷([東国武士])の心の中こそ情けあるものでした。力も加えずに、天地を動かし、目にも見えぬ鬼神をも哀れに思わせ、男女の仲を睦び、猛き武士の心をも慰めるものは歌であると、紀貫之が古今(『古今和歌集』)の序に書いたのも、もっともなことに思われました。


続く


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by santalab | 2016-03-13 08:40 | 太平記 | Comments(0)

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