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「太平記」日本朝敵の事(その2)

ここに第六天の魔王集まつて、この国の仏法広まらば魔障ましやう弱くしてその力を失ふべしとて、かの応化利生かのおうけりしやうを妨げんとす。時に天照太神あまてらすおほんがみ、かれが障碍しやうげを止めん為に、我三宝さんばうに近付かじと言ふ誓ひをぞなし給ひける。これによつて第六天の魔王怒りを止めて、五体より血をあやし、「尽未来際じんみらいさいに至るまで、天照太神の苗裔べうえいたらん人を以つてこの国の主とすべし。もし王命にたがふ者あつて国を乱り民を苦しめば、十万じふまん八千の眷属けんぞくあしたに駆けり夕べに来たつてその罰を行ひその命を奪ふべし」と、固く誓約を書いて天照太神に奉る。今の神璽しいしの異説これなり。まことに内外ないげの宮の有様自余の社壇には事替はつて、錦帳きんちやう本地ほんちを顕はせる鏡をも不懸、念仏読経どくきやうの声を止めて僧尼そうにの参詣を許されず。これしかしながら当社の神約しんやくを違へずして、化属結縁けぞくけちえんの方便を下に秘せるものなるべし。




ここに第六天([欲界の六欲天の最高位にある他化自在天])の魔王が集まって、この国に仏法が広まれば魔障は弱まりその力を失うと、天照大神の応化利生([仏・菩薩がそれぞれの人に応じた姿で現れ、説法、教化し、衆生に利益りやくすること])を妨ごうとしました。その時天照大神は、天魔の障碍([妨げ])を止めるために、三宝([仏・法・僧])に近付かない誓いを立てました。これによって第六天の魔王は怒りを鎮めて、五体より血を流し、「尽未来際([永遠の未来])に至るまで、天照大神の苗裔([子孫])である人をこの国の主としよう。もし王命に違う者が現れて国を乱し民を苦しむことあらば、十万八千の眷属([一族])が朝に駆け夕べに来てその罰を与え命を奪ってやる」と、固く誓約を書いて天照大神に奉りました。今の神璽([御札])となったとの異説があります。まこと内外宮の有様は自余の社壇とは違い、錦帳に本地([本来の姿])を現す鏡をも懸けず、念仏読経の声を止めて僧尼の参詣を許しません。これはしかし当社の神約に違えず、化属結縁([世の人が仏法と縁を結ぶこと])の方便([人を真実の教えに導くため、仮に取る便宜的な手段])を深く秘すためなのです。


続く


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by santalab | 2016-03-25 08:17 | 太平記 | Comments(0)

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