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「太平記」坂本御皇居並御願書の事(その3)

その後また南岸坊なんがんばう僧都そうづ道場坊だうぢやうばう祐覚いうがく、同宿千余人召し具して、先づ内裏に参じ、やがて十禅師じふぜんじに立ち登つて大衆だいしゆを起こし、僉議せんぎの趣きを院々ゐんゐん・谷々へぞ触れ送りける間、三千の衆徒しゆとことごと甲冑かつちうを帯して馳せまゐる。先づ官軍くわんぐん兵粮ひやうらうとて、銭貨せんくわ六万貫ろくまんぐわん・米穀七千石・波止土濃はしどのの前に積んだりければ、祐覚いうがくこれを奉行ぶぎやうして、諸軍勢に配分す。さてこそいまだ医王山王いわうさんわうも、我が君を捨てさせ給はざりけりと、敗軍の士卒じそつことごとく頼もしき事には思ひけれ。




その後また南岸坊の僧都・道場坊祐覚が、同宿千余人を連れて、まず内裏に参り、やがて十禅師に立ち登って大衆([僧])を起こし、僉議の趣きを院々・谷々へぞ触れ送ると、三千の衆徒([僧])は一人残らず甲冑を帯して馳せ参りました。まず官軍の兵粮として、銭貨六万貫・米穀七千石・波止土濃の前に積んだので、祐覚がこれを奉行([命令を受けて執行すること])して、諸軍勢に配分しました。いまだ医王(薬師如来。比叡山延暦寺の根本中堂の本尊)山王(山王権現。日吉大社の祭神)も、我が君(南朝初代後醍醐天皇)を見捨てられておられぬと、敗軍の士卒([兵士])は残らず頼もしく思いました。


by santalab | 2016-05-08 11:00 | 太平記

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