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「太平記」菊池合戦事(その9)

三番には、宮の御勢・新田の一族・菊池肥後のかみ一手に成つて、三千余騎、敵の中をつて、蜘手十文字じふもんじに懸け散らさんとをめひてかる。小弐せうに松浦まつら・草壁・山賀・島津・渋谷の兵二万余騎、左右へさつと分かれて散々に射る。宮方の勢射立てられて引きける時、宮は三所みところまで深手を負はせ給ひければ日野の左少弁させうべん坊城ばうじやう三位さんみ洞院とうゐん権大納言・花山院四位しゐの少将・北山三位の中将ちゆうじやう・北畠源中納言ぢゆうなごん・春日大納言・土御門右少弁・高辻の三位・葉室左衛門さゑもんかみに至るまで、宮を落としまゐらせんと蹈み止まつて討たれ給ふ。これを見て新田の一族三十三人さんじふさんにん、その勢千余騎横合ひに懸けて、両方の手崎を追ひ捲り、真ん中へ会尺ゑしやくもなく懸け入つて、引つ組んで落ち、打ち違へて死に、命を限りに戦ひけるに、世良田大膳の大夫・田中弾正だんじやう大弼だいひつ岩松いはまつ相摸のかみ桃井もものゐ右京うきやうすけ・堀口三郎・江田丹後の守・山名播磨の守、敵に組まれて討たれにけり。菊池肥後の守武光たけみつ・子息肥後の次郎は、宮の御手を負はせ給ふのみならず、月卿雲客げつけいうんかく・新田の一族たち若干そくばく討たるるを見て、「いつの為に可惜命ぞや。日来の契約不違、我に伴なふつはものども、不残討ち死にせよ」と励まされて、真つさきに懸け入る。




三番には、宮(懐良かねよし親王)の勢・新田一族・菊池肥後守(菊池武光たけみつ)が一手になって、三千余騎で、敵の中を破って、蜘手十文字に駆け散らそうと喚いてかかりました。小弐・松浦・草壁・山賀・島津・渋谷の兵二万余騎は、左右へさっと分かれて散々に矢を射ました。宮方の勢が射立てられて引き退く間に、宮は三所まで深手を負ったので日野左少弁・坊城三位・洞院権大納言・花山院四位少将・北山三位中将・北畠源中納言・春日大納言・土御門右少弁・高辻三位・葉室左衛門督に至るまで、宮を落とし参らせようと踏み止まって討たれました。これを見て新田の一族三十三人は、その勢千余騎で横合いに駆けて、両方の手先を追い捲り、真ん中へ会尺もなく駆け入ると、引っ組んで落ち、討ち違えて死に、命を限りに戦って、世良田大膳大夫・田中弾正大弼・岩松相摸守・桃井右京亮・堀口三郎・江田丹後守・山名播磨守が、敵に組まれて討たれました。菊池肥後守武光・子息肥後次郎(菊池武重たけしげ)は、宮が傷を負うばかりか、月卿雲客([公卿と殿上人])・新田の一族たちが若干討たれるのを見て、「いつのために惜しむべき命ぞ。日来の契約に違わず、我に従う兵どもよ、残らず討ち死にせよ」と大声を上げて、真つ先に駆け入りました。


続く


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by santalab | 2016-05-14 08:30 | 太平記 | Comments(0)

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