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「太平記」高氏被篭願書於篠村八幡宮事(その2)

そのことばに曰いはく

敬白祈願事夫以八幡はちまん大菩薩者、聖代前列之宗廟、源家中興之霊神也。本地内証之月、高懸于十万じふまん億土之天、垂迹外融之光、明冠於七千余座之上。触縁雖分化、聿未享非礼之奠、垂慈雖利生、偏期宿正直之頭。偉哉為其徳矣。挙世所以尽誠也。爰承久以来、当棘累祖之家臣、平氏末裔之辺鄙、恣執四海之権柄、横振九代之猛威。剰今遷聖主於西海之浪、困貫頂於南山之雲。悪逆之甚前代未聞。是為朝敵之最。為臣之道不致命乎。又為神敵之先。為天之理不下誅乎。高氏苟見彼積悪、未遑顧匪躬、将以魚肉菲、偏当刀俎之利、義卒勠力、張旅於西南之日、上将軍鳩嶺、下臣軍篠村。共在于瑞籬之影、同出乎擁護之懐。函蓋相応。誅戮何疑。所仰百王鎮護之神約也。懸勇於石馬之汗。所憑累代帰依之家運也。寄奇於金鼠之咀。神将与義戦耀霊威。徳風加草而靡敵於千里之外、神光代剣而得勝於一戦之中。丹精有誠、玄鑒莫誤矣。敬白
元弘三年五月七日
源朝臣高氏敬白

とぞ読み上げたりける。




その詞には、

敬白八幡大菩薩に祈願いたします、(八幡大菩薩は)聖代([すぐれた天子の治める世])からの宗廟([中国において、祖先の位牌をまつる建物])として、源家中興の霊神であられます。本地([神々の根本真実身])であられる内証([如来・仏の悟りの境涯])の月は、十万億土([この世から、阿弥陀仏がいるという極楽浄土に至るまでの間に、無数にあるという仏土])の天を高く照らし、垂迹([神])の外に現れる光は、七千余座(八百万)の上を明るく照らしておられます。化を分かつ([菩薩を能化といい、教えられる衆生を所化という])といえども縁に触れた今、その姿は違えども縁に触れて、享([酒食でもてなす])をもてなし奠([神仏に物を供えて祭る])に礼を尽くさぬことがありましょうや、利生([菩薩が衆生に利益を与えること])の慈悲をもって、ひとえに正直の頭の宿る([正直の頭に神宿る]=[正直な人には、おのずから神の加護がある])ことを願うものでございます。(八幡大菩薩の)徳は偉大なものと聞いております。(わたしは)誠を尽くすために兵を上げたのです。承久以来、棘に当たって(代々)累祖の家臣である、平氏の末裔(北条氏)が辺鄙において、ほしいままに四海([国内])の権柄([政治上の実権])を握り、横暴にも九代に渡って猛威を振るっております。その上聖主(第九十六代後醍醐天皇)を西海の浪の果てに流されて、南山(奈良)では貫頂(天台座主。護良もりよし親王)も嘆いておられます。悪逆の甚だしきこと前代未聞です。これこそ朝敵の最たるものではありませんか。臣の道として命に応じない訳には参りません。また神の敵とならぬようにと。天の理を思えば敵を誅するほかありません。この高氏は賎しい身ではございますがこの積悪を見て、匪躬([我が身を顧みず、主君または国家のために忠節を尽くすこと])を躊躇する遑([隙])もなく立ち上がりました、まな板の魚が、俎([生贄の肉を載せる脚付きの木製の台])に盛られるのを見てはおれません。義卒が力を一つにして、戦立ちをしたのです、上将軍は鳩嶺(現京都府八幡市にある石清水八幡宮)におられます、下臣の軍はこの篠村に。その運命はともに瑞籬([神社などの周囲に設けた垣根])の威光によって決まります、同じく擁護なされますよう。我らの心は一つです([函蓋]=[両者が相応じて一体となっているもののたとえ])。どうして誅戮を遂げないことがありましょうか。百王鎮護(永遠に国を鎮め守護する)の神約([神に誓った約束])でございます。わたしはこの戦において功を成したいのです。願うところ累代帰依による家運なのです。ですから金鼠(頼豪鼠?)の咀に与力し給え。神よ今度の戦に霊威を輝かしめよ。徳風([徳が人を感化することを風にたとえていった語])を吹かせ草が靡く如く敵を千里の外に追い払われよ、神光よ剣に代わって一戦の内に勝つことを得さしめ給え。心からの願いでございます、玄鑒([神仏が、人の行動を照らし見ていること])に誤りがあるはずはございません。敬白
元弘三年(1333)五月七日
源朝臣高氏敬白

と読み上げました。


続く


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by santalab | 2016-06-18 13:13 | 太平記 | Comments(0)

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