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「太平記」高氏被篭願書於篠村八幡宮事(その4)

夜既に明けければ前陣進んで後陣を待つ。大将大江山おいのやまの峠を打ち越え給ひける時、山鳩一つがひ飛び来たつて白旗しらはたの上に翩翻へんぽんす。「これ八幡大菩薩の立ち翔けつてまぼらせ給ふしるしなり。この鳩の飛び行かんずるに任せて可向」と、被下知ければ、旗差し馬を早めて、鳩の迹に付いて行くほどに、この鳩しづかに飛んで、大内たいだい旧迹きうせき神祇官じんぎくわんの前なるあふちの木にぞ留まりける。官軍くわんぐんこの奇瑞きずゐに勇んで、内野うちのを指して馳せ向かひける道すがら、敵五騎十騎旗を巻き兜を脱いで降参す。足利殿篠村を出で給ひし時は、わづかに二万余騎ありしが、右近の馬場を過ぎ給へば、その勢五万余騎に及べり。




夜はすでに明けて前陣が進んで後陣を待ちました。大将(足利高氏)が大江山(現京都府丹後半島の付け根に位置し京都府与謝郡与謝野町、福知山市、宮津市にまたがる連山)の峠を打ち越えようとする時、山鳩が一番い飛び来て白旗の上を飛び回りました。「これは八幡大菩薩が翔け護られる験である。この鳩の飛び行くに任せて向かうべし」と、下知したので、旗差しは馬を早めて、鳩の後に付いて行くほどに、この鳩はゆっくり飛んで、大内の旧迹、神祇官の前の樗木([ニワウルシ])に留まりました。官軍はこの奇瑞に勇み、内野(大極殿)を指して馳せ向かう道中で、敵五騎十騎が旗を巻き兜を脱いで降参しました。足利殿が篠村(現京都府亀岡市)を出る時には、わずかに二万余騎でしたが、右近の馬場を過ぎれば、その勢は五万余騎に及びました。


続く


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by santalab | 2016-06-20 08:16 | 太平記 | Comments(0)

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