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「太平記」園城寺戒壇事(その1)

山門二心ふたごころなく君を擁護おうごし奉て、北国・奥州の勢を相待つ由聞こへければ、義貞に勢の付かぬさきに、東坂本を急ぎ攻めらるべしとて、細川ほそかはきやうの律師定禅ぢやうぜん・同じく刑部ぎやうぶ少輔せう・並びに陸奥のかみを大将として、六万余騎を三井寺みゐでらへ差し遣はせらる。これはいつも山門に敵する寺なれば、衆徒しゆとの所存よも二心あらじと頼まれけるゆゑなり。従つて衆徒忠節を致される者にして、戒壇造営の事、武家殊に加力になるべくその功の由、御教書になされる。




山門(延暦寺)は二心なく君(第九十六代後醍醐天皇)を擁護して、北国・奥州の勢を待つと聞こえたので、義貞(新田義貞)に勢が付かぬ前に、東坂本(現滋賀県大津市。延暦寺の門前町)を急ぎ攻めるべしと、細川卿律師定禅(細川定禅)・同じく刑部少輔(細川直俊なほとし。細川定禅の兄)・並びに陸奥守(細川顕氏あきうぢ。定禅・直俊の兄)を大将として、六万余騎を三井寺(現滋賀県大津市にある園城寺)に差し遣わしました。これはいつも山門と敵対する寺でしたので、衆徒([僧])の思いよもや二心あるまいと頼んでのことでした。こうして衆徒は忠節を致す者となって、戒壇造営の事、その功として武家が格別に力となる旨を、御教書([三位以上の貴人の意向を伝える奉書])になしました。


続く


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by santalab | 2016-06-21 08:19 | 太平記 | Comments(0)

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