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「太平記」持明院殿吉野遷幸事付梶井宮事(その4)

御車を暁の月にきしつて、東洞院ひがしのとうゐんを下りに過ぎければ、故卿の梢やうやく幽かにして、東嶺に響く鐘の声、明け行く雲に横たはる。東寺までは、月卿げつけい雲客うんかく数多あまた被供奉たりけれども、叶ふまじき由を顕能あきよし被申ければ、三条さんでう中将ちゆうじやう実音さねとし・典薬のかみ篤直あつなほ計りを召し具せられて、見馴れぬ兵に被打囲、鳥羽まで御幸成りたれば、夜は早やほのぼのと明け果てぬ。ここに御車をとどめて、怪しげなる網代輿あじろこしに召し替へさせまゐらせ、日を経て吉野の奥賀名生あなふと云ふ所へ御幸成し奉る。




車を暁の月に進ませて、東洞院を下りに過ぎれば、故卿の梢は幽かにして、東嶺に響く鐘の声が、明け行く雲に乗せて聞こえました。東寺(現京都市南区にある教王護国寺)までは、月卿雲客([公卿と殿上人])が数多くお供しておりましたが、叶うまじき由を顕能(北畠顕能)が申したので、三条中将実音(正親町三条実音)・典薬頭篤直(丹波篤直)ばかりを召し具して、見馴れぬ兵に打ち囲まれ、鳥羽(現京都市南区・伏見区)まで御幸になられると、夜は早やほのぼのと明け果てました。ここに御車を止めて、怪しげな網代輿([竹やひのき)の網代を屋根や両わきに張り、黒塗りの押しぶち)を付けた輿])に召し替えられて、日を経て吉野の奥賀名生(現奈良県五條市)という所へ御幸になられました。


続く


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by santalab | 2016-06-25 14:58 | 太平記 | Comments(0)

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