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「太平記」小清水合戦の事付瑞夢の事(その6)

松田・薬師寺七騎に成つてしばし控へたる処、彼らが手の者ども彼方より馳せ付いて、また百騎許りに成りければ、石堂・畠山先懸けして兵を三町さんちやう許り追ひ返したるに、敵も勇気や疲れけん、その後よりは不追ければ、軍はこれにて止みにけり。薬師寺は鎧に立つ処の矢少しり懸けて湊川へ馳せかへりたれば、敵のはたをだにも不見して引つ返しつる二万余騎のつはものども、勇気を失ひ、落方つるを求めて、ただ泥に酔ひたる魚の小水に息衝くに異ならず。さても合戦をつらつら案ずるに、勢の多少兵の勝劣、天地各別なり。何事にかこれほどに無念可打負。




松田(松田重明しげあき)・薬師寺(薬師寺公義きんよし)は七騎になってしばし控えるところに、彼らの手の者どもが彼方より馳せ付いて、また百騎ばかりになりました、石堂(石塔頼房よりふさ)・畠山(畠山国清くにきよ)が先駆けして兵を三町ばかり追い返しましたが、敵も勇気を失ったか、その後は追いかけなかったので、軍はこれで終わりました。薬師寺(公義)が鎧に立矢を少し折り懸けて湊川へ馳せ帰れば、敵の旗さえ見ずに引き返した二万余騎の柄どもは、ますます勇気を失い、落ちる方を求めて、ただ泥にまみれた魚がわずかの小水に息を衝くような有様でした。それにしても合戦をよくよく思案すると、勢の多少兵の勝劣は、天地ほどの差がありました。どうしてこれほどまで打ち負けたのでしょうか。


続く


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by santalab | 2016-10-17 09:22 | 太平記 | Comments(0)

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