Santa Lab's Blog


「太平記」光厳院禅定法皇行脚事(その10)

山菓落
朝三食飽秋風
柴火宿
夜薄衣防寒気
吟肩骨痩担泉慵時
石鼎湘雪三椀茶飲清風
仄歩山嶮折蕨倦時
岩窓嚼梅
一聯いちれん句甘閑味給ふ
身の安きを得るところすなはち心安し
出有江湖
入有山川

と、一つ乾坤けんこんの外に逍遥せうえうして、破蒲団はふとんの上に光陰を送らせ給ひけるが、翌年の夏の頃より、にはかに御不予ごふよの事あつて、つひに七月七日隠れさせ給ひにけり。




山菓が庭に落ちているから、三食に困ることはない、柴火で暖を取り、夜は薄衣で寒気を防ぐ、肩骨が痩せ泉を担うのが煩わしい時には、石の鼎([古代中国の煮炊き用の器の一])に雪を注ぎ三椀茶を飲めば喉の渇きも癒えるし、険山に入り蕨を取るのがおっくうな時には、岩窓の梅を噛めば、甘酸っぱい味がする。身が安らかならばほかに何の心配もない。江湖([五胡四海の広い世界のことを表し、後には俗世間から離れた隠士が住まう世界のことをも指すようになった])を出て、山川に入るようなものよ。

と、一乾坤(一天地=京)の外に逍遥(配流)になられた後は、破蒲団([ぼろの寝具])の上で光陰([月日])を送られていましたが、翌年の夏頃より、にわかに不予([貴人・長上の病気])になられて、(北朝初代天皇光厳院は)遂に(正平十九年(1364))七月七日にお隠れになられました。


続く


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by santalab | 2016-12-15 08:20 | 太平記 | Comments(0)

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