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「太平記」北野通夜物語の事付青砥左衛門事(その3)

国土もし乱れば、君なんぞ安からん。百姓荼毒とどくして四海しかい逆浪げきらうをなす。されば湯武たうぶは火に投身、桃林たうりんしやに祭り、大宗は呑蝗、命を園囿ゑんいうの間に任す。己を責めて天意に叶ひ、撫民地声をかへりみ給へとなり。すなはち知んぬ王者の憂楽いうらくは衆と同じかりけりと云ふ事を、白楽天も書き置き侍りき。されば延喜の帝は、寒夜に御衣を脱がれ、民の苦をあはれみ給ひしだに、まさしく地獄に落ち給ひけるを、しやう岩屋いはや日蔵にちざう上人は見給ひけるとこそうけたまはれ。




国土が乱れれば、君はどうして安穏としておれようか。百姓を荼毒([いため苦しめること])し四海([国内])は逆浪([世の中が乱れていることのたとえ ])をなす。湯武(湯王=殷朝の創始者。と武王=周朝の創始者)は火に身を投げ、桃林の社に祭り、太宗(唐朝の第二代皇帝)は蝗([イナゴ])を呑んで、命を園囿([草木を植え、鳥や獣を飼う所])に任せた。己を責めてこそ天意に叶うというものよ。撫民地声([理世撫民]=[世を治め、民をいたわること])を顧みるべきなのだ。つまり王者の憂楽は衆と同じということ、白楽天も書き置いておろう延喜帝(第六十代醍醐天皇)は、寒夜に御衣を脱がれ、民の苦を憐れまれたにも関わらず、地獄に落ちられたと、笙の窟([黄泉])の日蔵上人(平安中期の修験者)が見たと聞いておるぞ。


続く


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by santalab | 2017-02-22 08:28 | 太平記 | Comments(0)

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