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「太平記」北野通夜物語の事付青砥左衛門事(その28)

玄宗この時みづからの非を知ろし召し、臣の忠義を叡感あつて、その後よりは史官を不被誅、かへつて大禄たいろくをぞ賜はりける。人として死を不痛云ふ事なければ、三人の史官全く誅を非不悲。もし恐天威不注君非、叡慮無所憚悪しき御振る舞ひなほありぬと思ひし間、死罪に被行をも不顧、これを注し留めける大史官の心の中、思ひ遣るこそ難有けれ。国に有諌臣その国必ず安く、いへに有諌子その家必ず正し。されば如斯君も、まことに天下の人を安からしめんと思し召し、臣も無私君の非を諌めまうす人あらば、これほどに払ひ棄つる武家の世を、宮方に拾うて不捕や。かほどに安き世を不取得、三十さんじふ余年まで南山の谷の底に埋れ木の花開く春を知らぬ様にておはしますを以つて、宮方の政道をば思ひ遣らせ給へ」と爪弾つまはじきをしてぞ語りける。




玄宗(唐の第九代皇帝)この時自らの非を知り、臣の忠義を感じて、その後よりは史官([古代中国で 、文書・記録の任にあたった官])を誅さず、反対に大禄を賜わったのだ。人として死を恐れないことはない、三人の史官も誅を悲しまないはずはなかったものを。も威を恐れて君を諌めなければ、叡慮のままに悪しき御振る舞いを続けることであろうと思い、死罪をも顧みず、君に諫言した大史官の心の内を、思い遣ればありがたいことよ。国に諌臣あればその国は必ず安泰にして、家に諌子あればその家は必ず栄えるものよ。玄宗のような暴君でさえも、まこと天下の人を安んじようと思われるほどに、臣も私なく君の非を諌め申す人あらば、これほどまでに見限る武家の世を、宮方が取れないものか。これほど取り安い世を取ることなく三十余年まで南山の谷の底で埋れ木が花開く春を知らぬようにしておられる、宮方の政道を思い遣らよ」と爪弾き([嫌悪・軽蔑・非難などの気持ちを表すしぐさ])をしながら語りました。


続く


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by santalab | 2017-03-03 07:55 | 太平記 | Comments(0)

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