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「太平記」北野通夜物語の事付青砥左衛門事(その37)

そのあけの日また舎利弗、長者のしやうを得て行き給ひけるが、梨軍支りぐんし比丘を伴なひ連れ給ふ。長者五百の阿羅漢にいひを引きけるが、如何がして見はづしたりけん。梨軍支一人には不引けり。梨軍支鉢を捧げて高声に告げけれども人つひに不聞付ければ、その日も飢ゑてかへりにける。阿難尊者この事をあはれみて、『今日我仏に随ひ奉て請を受くるに、汝を伴なつて飯に可令飽』と約し給ふ。阿難既に仏に随ひて出で給ふ時に、梨軍支に約束し給ひつる事を忘れて、連れ給はざりければ、今日さへ鉢を空しくして徒然とぜんとしてぞくらしける。




その翌日また舎利弗(釈迦の十大弟子の一人。智慧第一)は、長者に呼ばれて出かけて行ったのじゃが、梨軍支比丘を連れて行ったんじゃ。長者は五百人の阿羅漢([仏教において、尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のこと])に飯を与えたが、どういう訳で見落としたか。梨軍支一人には与えなかったんじゃ。梨軍支は鉢を捧げて大声で知らせたんじゃ終に聞き付ける人もなく、その日も飢えて帰った。阿難尊者(阿難陀。釈迦の十大弟子の一人。 多聞第一)はこれを憐れんで、『今日わたしは仏(釈迦)の供をして請を受けることになっておる、お前も連れて行くから飯を十分もらえ』と約束したんじゃ。阿難は仏に従い出かけたが、梨軍支と約束したことを忘れて、連れて行かなかった、梨軍支は今日も鉢を空しくして腹を減らして日を送ったんじゃよ。


続く


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by santalab | 2017-03-06 08:09 | 太平記 | Comments(0)

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