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「太平記」大内裏造営の事付聖廟の御事(その19)

本院ほんゐん大臣おとどあはや我が身に懸かる神罰よと被思ければ、玉体に立ちまゐらせ太刀を抜き懸けて、「てうに仕へ給ひし時も我に礼を乱し給はず、たとひ神と成り給ふとも、君臣上下の義を失ひ給はんや。金輪こんりん位高うして擁護の神未だ捨給、暫くしづまりて穏かにその徳を施し給へ」と理に当たつてのたまひければ、理にや静まり給ひけん、時平しへい大臣も蹴殺され給はず、玉体も無恙、雷神天に上り給ひぬ。されども雨風の降り続く事はなほ不休。




本院大臣(藤原時平ときひら)はあわや我が身に懸かる神罰よと思われて、玉体(第六十代醍醐天皇)に立ち添い参らせ太刀を抜き懸けて、「朝に仕えし時も我に礼を乱さず、たとえ神となろうと、君臣上下の義を失うことがあろうや(藤原時平は左大臣、菅原道真は右大臣)。(醍醐天皇は)金輪王([須弥山の四州を統治する王])にも劣らず位高くして擁護の神はいまだに捨てず、しばらく鎮まり穏かにその徳を施し給へ」と理を説いて申せば、理に鎮まるか、時平大臣も蹴殺されず、玉体も無事にして、雷神は天に上りました。けれども雨風は降り続きなおも止みませんでした。


続く


by santalab | 2017-04-04 08:29 | 太平記

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