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「太平記」大内裏造営の事付聖廟の御事(その20)

かくては世界国土皆流れ失せぬと見へければ、以法威神の忿いかりをなだめ申さるべしとて、法性坊ほつしやうばうぞう僧正を被召。一両度までは辞退申されけるが、勅宣及三度ければ、無力下洛し給ひけるに、鴨川をびたたしく水増して、船ならでは道あるまじかりけるを、僧正、「ただその車水の中を遣れ」と下知げぢし給ふ。牛飼ひ随命、みなぎつたる河の中へ車をさつと遣り懸けたれば、洪水左右へ分かれ、かへつて車は陸地くがちとほりけり。僧正参内し給ふより、雨止み風しづまつて、神の忿りも忽ちに宥まり給ひぬと見へければ、僧正預叡感登山とうさんし給ふ。山門の効験かうげん天下の称讚在之とぞ聞こへし。




これでは世界国土は皆流れ失せぬと思われたので、法威をもって神の怒りを宥め申すべしと、法性坊贈僧正(尊意)を召されました。一両度までは辞退申しましたが、勅宣三度に及んで、仕方なく下洛する時、鴨川はたいそう水嵩を増して、船なくしては通ることができませんでした、僧正は、「ただ車を水の中を通れ」と命じました。牛飼いは命に従って、漲る川の中をさっと進むと、洪水は左右へ分かれ、車は陸地を通るようなものでした。僧正が参内すると、雨は止み風は静まって、神の怒りもたちまちに鎮まると見えたので、僧正は叡感に与かり(比叡山に)登山しました。山門の効験天下の称讚尊意にありと言われました。


続く


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by santalab | 2017-04-05 08:17 | 太平記 | Comments(0)

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