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「太平記」鎌倉合戦の事(その2)

やがてこの勢と打ち連れて、神奈河かみながはに着いて鎌倉の様を問ひ給へば、「鎌倉には将軍の御子息左馬のかみ基氏もとうぢを警固し奉て、南遠江とほたふみかみ、安房・上総の勢三千余騎にて、化粧けはひ坂・巨福呂こふくろ坂を切り塞いで用心きびしく見へさうらひしが、昨日のあした敵三浦にありと聞いて、打ち散らさんとて向かはれ候ひしかども、虚言そらごとにてありけりとて、只今鎌倉へ打ちかへらせ給ひて候ふよ」とぞ語りける。「さては只今の合戦ごさんなれ、ここにて軍の用意をせよ」とて、兵粮ひやうらうを仕ひ馬に糟嚙はせて、三千余騎二手に分けて、鶴岳つるがをかへ旗指し少々差し遣はして大御堂おほみだうの上より真つ下りにぞ押し寄せたる。




やがてこの勢と打ち連れて、神奈川に着いて鎌倉の様子を訊ねると、「鎌倉では将軍(足利尊氏)の子息左馬頭基氏(足利基氏。足利尊氏の四男)を警固して、南遠江守、安房・上総の勢が三千余騎にて、化粧坂・巨福呂坂を切り塞いで厳しく用心しておりますが、昨日の朝敵が三浦にあると聞いて、打ち散らそうと向かいましたが、虚言であったと、今は鎌倉に帰っております」と話しました。「ならば今すぐの合戦がよかろう、ここで軍の用意をせよ」と申して、兵粮を出し馬に糟を嚙わせて、三千余騎を二手に分けて、鶴岡(鶴岡八幡宮)に旗指差しを少々遣わせて大御堂(勝長寿院)の上より真っ下りに押し寄せました。


続く


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by santalab | 2017-05-10 07:17 | 太平記 | Comments(0)

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