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「太平記」笛吹峠軍の事(その4)

同じき二十八日にじふはちにち将軍笛吹うすひの峠へ押し寄せて、敵の陣を見給へば、小松生ひ茂つて前に小河流れたる山の南を陣に取つて、峯には錦の御旗を打ち立て、麓には白旗・中黒・棕櫚しゆろの葉・かじの葉の文書もんかきたる旗ども、その数満ち満ちたり。先づ一番に荒手の案内者なればとて、甲斐かひの源氏三千余騎にて押し寄せたり。新田武蔵のかみと戦ふ。これも荒手の越後勢ゑちごぜい、同じく三千余騎にて相懸かりに懸かりて半時許り戦ふに、逸見へんみ入道以下宗との甲斐源氏ども百余騎討たれて引き退く。




同じ二月二十八日に将軍(足利尊氏)は碓氷峠(現群馬県安中市と長野県北佐久郡軽井沢町との境にある峠)に押し寄せて、敵の陣を見れば、小松が生ひ茂り前に小川が流れる山の南を陣に取って、峯には錦の旗を打ち立て、麓には白旗・中黒・棕櫚の葉・梶の葉の紋を描いた旗が、充満していました。まず一番に新手の案内者でしたので、甲斐源氏が三千余騎で押し寄せました。新田武蔵守(新田義宗よしむね。新田義貞の三男)と戦いました。これも新手の越後勢が、同じく三千余騎で相懸かりに懸かって半時ばかり戦うと、逸見入道以下主な甲斐源氏どもが百余騎討たれて引き退きました。


続く


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by santalab | 2017-05-16 08:09 | 太平記 | Comments(0)

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