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「太平記」兵部卿宮薨御の事付干将莫耶事(その4)

楚王雄剣を開いて見給ふに、まことに精霊ありと見へければ、箱の中にをさめて被置たるに、この剣箱の中にして常に悲泣ひきふの声あり。楚王怪しみて群臣にその泣くゆゑを問ひ給ふに、臣皆まうさく、「この剣必ず雄とと二つ可有。その雌雄一所に不在間、これを悲しんで泣くものなり」とぞ奏しける。楚王おほきに忿いかつて、すなはち干将を被召出、典獄てんごくの官におほせて首を被刎けり。その後莫耶ばくや子を生めり。面貌めんばう世の常の人に替はつてたけの高き事一丈いちぢやう五尺、力は五百人が力を合はせたり。おもて三尺あつて眉間一尺ありければ、世の人その名を眉間尺みけんじやくとぞ名付けける。




楚王が雄剣を開いて見ると、まことに精霊がいるように思われて、箱の中に収め置きましたが、箱の中で常に泣き悲しむ声がしました。楚王は不思議に思い群臣に泣く訳を訊ねると、臣が口を揃えて申すには、「剣はきっと雄と雌の二つあるのでしょう。雌雄が一所にいないため、これを悲しんで泣いていると思われます」と申しました。楚王はたいそう怒って、たちまち干将を呼び出すと、典獄の官に命じて首を刎ねさせました。その後莫耶は子を生みました。顔かたち世の常の人とは違って丈が高く一丈五尺(約4.5m)、力は五百人力ありました。顔は三尺あって眉間が一尺あったので、世の人その名を眉間尺と名付けました。


続く


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by santalab | 2017-05-19 21:51 | 太平記 | Comments(0)

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