Santa Lab's Blog


「太平記」兵部卿宮薨御の事付干将莫耶事(その5)

年十五に成りける時、父が書き置きけることばを見るに、


日出北戸ほつこにいづ
南山其松
松生於石
剣在其中


と書けり。さてはこの剣北戸の柱の中にありと心得て、柱をつて見るに、果たして一つの雌剣しけんあり。眉間尺これを得て、あはれ楚王を奉討父のあたを報ぜばやと思ふ事骨髄こつずゐとほれり。楚王も眉間尺がいきどほりを聞き給ひて、かれ世にあらんほどは、不心安被思ければ、数万すまん官軍くわんぐんを差し遣はして、これを被責けるに、眉間尺一人が勇力ゆうりきに被摧、またその雌剣のやいばに触れて、死傷する者幾千万と云ふ数を不知。




眉間尺みけんじやくは十五歳になって、父が書き置いた文を見れば、


北戸を東に向かえば、
南山に松が生えておる。
松の根元に石がある。
剣はその中にある。


と書いてありました。さては剣は北戸の柱の中にあると心得て、柱を割って見れば、果たして一つの雌剣がありました。眉間尺はこれを得て、なんとしても楚王を討って父の敵に報復しようと思う気持ちが骨髄に染みました。楚王も眉間尺の怒りを聞いて、彼が世にいる限り、安心できまいと思って、数万の官軍を差し遣わして、眉間尺を攻めましたが、眉間尺一人の勇力に砕かれ、またその雌剣の刃に触れて、死傷する者は幾千万という数を知りませんでした。


続く


[PR]
by santalab | 2017-05-20 08:02 | 太平記 | Comments(0)

<< 「太平記」笛吹峠軍の事(その7)      「太平記」兵部卿宮薨御の事付干... >>

Santa Lab's Blog
by santalab
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
ただおし出づるままに の..
by SiNa at 21:40
「義経記」の御紹介記事を..
by Magohati38 at 02:04
すばらしいサイト おかげ..
by johsei1129 at 23:54
青き花咲く大地 気高き..
by 北朝鮮の水爆に十神山も激怒 at 02:50
全然現代語訳できてない
by あ at 02:04
 その島根県(旧出雲国東..
by 民俗学者 at 23:34
うーん、松島からまた仙台..
by 五十嵐洋(秋田県大館市) at 00:51
「下野の室の八嶋にて待て..
by 八島 守 at 12:03
ひょんな事から、このブロ..
by yoshy at 18:50
すみません、日本語の起源..
by 春日 at 21:17
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧