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「太平記」山名右衛門佐為敵事付武蔵将監自害の事(その8)

細河ほそかは相摸のかみ清氏きようぢ、これほど御方の打ち負けたるを見ながら、すこしも機を不屈、なほ勇み進んでぞ見へたりける。吉良・石堂・原・蜂屋・宇都宮民部の少輔せう海東かいとう和田にぎた・楠木、皆荒手なれば細河と懸かり合つて、鴨川を西へ追ひ渡し、真如堂の前を東へ追つ立て、時移るまでぞ戦ひたる。千騎せんぎが一騎に成るまでも引かじとこそ戦ひけれども、将軍の陣あらけ靡いて後ろの御方相遠あひどほに成りければ、細河つひに打ち負けて四明しめいの峯へ引き上がる。




細川相摸守清氏(細川清氏)は、これほどに味方が打ち負けたのを見ながら、少しも気落ちせず、なおも勇み進むように見えました。吉良(吉良満貞みつさだ)・石塔(石塔義房よしふさ)・原・蜂屋・宇都宮民部少輔・海東・和田(和田正武まさたけ)・楠木(楠木正儀まさのり。楠木正成の三男)は、皆新手でしたので細川(清氏)と懸かり合って、鴨川を西へ追い渡し、真如堂(現京都市左京区にある真正極楽寺)の前を東へ追い立て、時が移るまで戦いました。千騎が一騎になろうとも引くまいと戦いましたが、将軍(足利尊氏)の陣が散り散りになって後ろの味方が離れてしまったので、細川(清氏)は遂に打ち負けて四明峯(四明嶽=比叡山)に引き上りました。


続く


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by santalab | 2017-06-20 07:18 | 太平記 | Comments(0)

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