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「宇津保物語」楼の上(その6)

取り入れさせて、見給へば、「大将の御手なめり。いといみじう恥づかしう。いかに見給ふらむ」と思え給へど、「仏の御しるしもあらむ」と、うれしう思す。白き色紙に、「いとおぼつかなう思ひ給へらるれど。

渡り川 誰か尋ねむ 浮き沈み 消えては泡と なり返るとも
え思えずぞ侍る」とも書き給へり。




女は文を取り入れさせて、見れば、「大将【藤原仲忠】の字ではありませんか。なんと恥ずかしいこと。どう思っておられるのでしょう」と思いましたが、「仏のお陰でございましょう」と、うれしく思いました。白い色紙に、「きっとお人違いでございましょう。

渡り川([三途の川])を訪ねる人がおられるとはとても思えません。たとえこの身が浮いては沈み消えて泡のようにはかなくなろうとも。
まったく身に覚えのないことでございます」と書いてありました。


続く


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by santalab | 2017-10-25 15:11 | 宇津保物語 | Comments(0)

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