Santa Lab's Blog


2017年 03月 27日 ( 1 )



「太平記」大内裏造営の事付聖廟の御事(その11)

ひかるきやう定国さだくにの卿・菅根すがねの朝臣などに内々相計あいはかつて、召陰陽頭、王城の八方に埋人形祭冥衆、菅丞相を呪咀じゆそし給ひけれども、天道てんだうわたくしなければ、御身に災難不来。さらば構讒沈罪科思して、本院ほんゐん大臣おとど時々よりより菅丞相天下の世務に有私、不知民愁、以非為理由被申ければ、帝さては乱世害民逆臣にして、諌非禁邪忠臣に非ずと被思し召しけるこそ浅ましけれ。「誰知、偽言巧似簧。勧君掩鼻君莫掩。使君夫婦為参商。請君捕峰君莫捕。使君母子成豺狼」。さしも可眤夫婦・父子の中をだにとほざくるは讒者ざんしやいつはりなり。いはんや於君臣間乎。つひ昌泰しやうたい四年正月二十日菅丞相被遷太宰権帥、筑紫へ被流給ふべきに定まりにければ、不堪左遷御悲、一首の歌に千般せんばんの恨みを述べて亭子院ていじゐんへ奉り給ふ。


流れ行く 我はみくづと なりぬとも 君しがらみと 成りてとどめよ




光卿(源光)・定国卿(藤原定国)・菅根朝臣(藤原菅根)などに内々相計って、陰陽頭を召し、王城の八方に人形を埋め冥衆([人の目に見えない、鬼神や閻魔王のような諸神])を祭り、菅丞相(菅原道真)を呪咀しましたが、天道に私なければ([天道に私なし]=[天道は正直])、身に災難は起こりませんでした。ならば讒を構え罪科に沈めようと思い、本院大臣(藤原時平ときひら)は折に付けて菅丞相は天下の世務に私心を挟み、民の愁いを知らず、道理に外れた行いをしていると申したので、帝(第六十代醍醐天皇)はさては世を乱し民に害をなす逆臣にして、非を諌め邪を禁じる忠臣でないと思われたのは残念なことでした。「誰が知るであろう、言葉巧みに偽り申すことを。(たとえ西施=中国古代四大美女の一人。のような絶世の美女が、汚物を頭からひっかけられて)鼻を覆うことを勧められても鼻を覆うことなかれ、夫婦は参商([肉親や親しい者同士が会えない 。仲が悪い])となろう。蜂を捕らえよと請えども捕えることなかれ、母子は豺狼([残酷で欲深い人])となるであろう」(白居易らしい)。仲睦まじい夫婦・父子の仲でさえ疎遠にするのは讒者の嘘です。申すまでもなく君臣の関係においては。遂に昌泰四年(901)正月二十日菅丞相を太宰権帥になし、筑紫へ流すと決まったので、不堪左遷の悲しみに堪えず、一首の歌に千般の恨みを述べて亭子院(亭子院。第五十九代宇多法皇)に奉りました。


たとえわたしが流れ行く水屑となるのなら、君(宇多法皇)が柵となられて止めてほしい。


続く


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by santalab | 2017-03-27 07:10 | 太平記 | Comments(0)

    

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