Santa Lab's Blog


「落窪物語」巻四(その29)

左の大臣おとど、いかでこの君たちによき婿取りせむと思して、見るに、然るべきがなきと思し渡るほどに、朝廷おほやけの選びにて、中納言の、筑紫のそちにて下るが、にはかに妻失せたりけるを、聞き給ひて、人がらもいとよき人なりと思しきざして、内裏に参りたりたるにも、心留めて語らひ給ひて、るべきりに、このことのすぢを、ほのめかし給ひければ、「よきことに侍るなり」と申し契りてけり。左の大臣おとど、北の方に申し給ふ、「しかじかの人をなむ、言ひ契りたる。上達部にもあり、人がらもいとよしとなむ思ふ。三の君にや逢はすべき、四の君ひや逢はすべき。いづれにか」とのたまへば、北の方、「いざ、御心に定め給へ。麻呂は四の君にとなむ思ふ。いとほしきことありしかば、思ひも直し給ふばかり」とのたまへば、「このつごもりに下りぬべかなり。くしてむ。北の方に、さのたまへ。よろしう思ひたらば、ここにて逢はせむ」とのたまへば、「文にては、いかが長々とも書かむ。みづから渡らむとすれば、所し」、「少将、播磨のもりなどにくはしくのたまへ」など聞こえ給ふ。




左大臣殿は、なんとかして君たち(三の君、四の君)によい相手を婿取りしようと思って、男たちを見ていましたが、中々よい者がいないと思っているうちに、朝廷が選んだことですが、中納言が、筑紫帥([大宰府の長官])に任命されて下ることになりましたが、突然妻を失ったのを、聞いて、性格もよい者ではないかと、内裏に参った折には、気にかけて話しをしました、よい機会に、左大臣殿が結婚のあらましを、ほのめかすと、「よいお話ですね」と申したので結婚の約束をしたのでした。左大臣は、北の方(落窪の君)に申して、「これこれの者と、結婚の約束をした。上達部([公卿と殿上人])の者でもあり、性格もとてもよい者だと思ったのだ。さて三の君と結婚させようか、それとも四の君がよいか。どちらがふさわしいだろう」と申すと、北の方は、「さあ、あなたが思うようにすればよいと思いますよ。わたしは四の君がふさわしいと思いますが。四の君にはかわいそうなことをしましたので、気持ちを変えて差し上げたいのです」と言いました、左大臣殿が、「彼は今月末にも大宰府に下ることになっている。急ぎ結婚させよう。故大納言の北の方に、そう伝えてくれ。了承があれば、この殿で二人を逢わせよう」と申すと、北の方は「文では、長々と説明しなくてはなりません。かと言って直接訪ねるのも、どうかと思います」と言いました、左大臣殿は「ならば少将(故大納言の三男)、播磨守(故大納言の長男)に詳しく話してくれ」と申しました。


続く


by santalab | 2013-08-16 07:26 | 落窪物語

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