Santa Lab's Blog


「平家物語」千手前(その6)

そのゆふべ雨少し降つて、よろづものさびしげなる折節をりふしくだん女房にようばう琵琶びは琴持たせてまゐりたり。狩野かのの介も、いへの子郎等らうどうじふ余人引き具して、中将ちうじやう殿の御まへ近うさふらひけるが、しゆを勧め奉る。千手のまへ酌をとる。中将少し受けて、いときようなげにておはしければ、狩野のの介まうしけるは、「かつ聞こし召されてもやさふらふらん。宗茂むねもちは、もと伊豆いづの国の者にて候へば、鎌倉では旅にて候へども、心の及ばんほどは奉公仕り候ふべし。何事も思し召すことあらば、うけたまはつてまうせと、兵衛ひやうゑすけ殿おほせ候ふ。




その日の夕方に雨が少し降って、何事にも心細くなる頃、あの女房(千手前)が、琵琶と琴を持ってやって来ました。狩野介(狩野宗茂むねもち)も、家の子([子息])郎等([家来])十人余りを引き連れて、中将殿(平重衡しげひら。清盛の五男)の御前近くに来て、酒を勧めました。千手前が酌をしました。重衡は少し受けただけで、あまり楽しくない様子でしたので、宗茂はが申すには、「すでにお聞きになっているかもしれません。わたしは、もとは伊豆国(今の静岡県の伊豆半島、伊豆諸島)の者ですから、鎌倉は旅先ですが、心の及ぶ限り奉公仕りたいと思います。何事でも思うことあれば、承るようにと、兵衛佐殿(源頼朝)より仰せ遣っております。


続く


by santalab | 2013-08-23 07:28 | 平家物語

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