三四日になりて、西の対に、我もろともに渡り給ひぬ。御供の人々、萎えたる、御装束一具ひづつ賜ふ。人少ななりとて、我が御人、童一人、大人三人、下仕二人と、渡し給ふ。装束ども、設ひたる儀式、いと目安し。母北の方、異同胞たち、ただここになむ来ける。暮れゆくままに、出で入り、急ぎ給ふ。兄人の少将、かたじけなくうれしと思ふ。
四の君が左大臣殿に渡ってから三四日が過ぎ、西の対屋([離れ])に、帥(四の君の夫)とともに移りました。四の君の供の者たちの、衣装が古かったので、左大臣殿は装束を一揃えずつ与えました。左大臣殿の北の方(落窪の君)は四の君を世話する者たちが少ないと、自分が使っていた、女童一人、大人(女房)三人、下仕え([院の御所や親王家・摂家などに仕えて雑用を務めた女])二人を、西の対屋に行かせました。装束、準備した儀式の品々は、とてもいいものでした。母である北の方、落窪の君の異母兄弟たちが、左大臣殿にやって来ました。日が暮れるにつれ、左大臣殿は忙しく出入りし、準備を急ぎました。落窪の君の弟である少将は、ありがたくうれしく思いました。
(続く)