日の近うなるままに、同胞たち皆渡り集まり給ひて、今は別れ惜しみ、哀れなることをのたまふ。人々参り集まりて、「装束き華めきたるを見れば、大殿にうち次ぎ奉りては、この君ぞ、幸ひおはしましける」と言へば、「これも誰がし奉る。その御幸ひの所縁ぞかし」と口々に言ひ合へり。
四の君が帥([大宰府の長官]。四の君の夫)とともに大宰府に赴く日が近くなって、姉妹たちが皆訪ね来て集まり、別れを惜しみ、悲しくなると話していました。女たちが集まった中に、とりわけ四の君が美しい着物を着て華やかに見えたので、大殿(左大臣殿の北の方。落窪の君)に続いて、四の君が、幸せになったようですね」と言ったので、「これは誰のおかげでしょう。幸せは北の方との縁によるものに違いありません」と口々に言い合っていました。
(続く)