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「落窪物語」巻四(その54)

そち見て、「いと多くの物どもなりや。いとかくしも賜はでありなむものぞ」と言ふ。御使ひどもに物被く。四の君「さらに聞こえさせむ方はくて。

白雲の 立つ空もなく かなしきは わかれゆくべき 方もおぼえず

賜はせたる物どもを、人々見るもうれしく、いみじうもの騒がしうて」となむある。娘の君の御返り、「これよりも、近きほどにだに聞こえさせむと思ひ給ふるほどになむ。遅れぬ者は、ここにも。
身をわけて 君にし添ふる ものならば ゆくもとまるも 思はざらまし」

となむありける。




帥(四の君の夫)は左大臣殿の北の方からの贈り物を見て、「たいそう多く贈り物をいただいた。これほどいただくとは思わなかった」と言いました。帥は使いの者に褒美を与えました。四の君は「何とお礼を言ってよいものか。

わたしは白雲が立つ、遠い国へと旅立ちますが、ただただ別れが悲しくて、旅立つ方も、涙で見えません。

いただいた物を、皆が見るだけでうれしくて、皆口々に誉めてくれますので」と書いてありました。四の君の娘からも落窪の君へ返事がありました、「北の方が、お近くにおられる間に文を出そうと思っておりました。お別れすることを悲しむ者が、ここにもおります。
もし我が身を分けて、片身が北の方と一緒にいられるとしたら、母上に付いて行こうか留まろうかと、悩むこともなかったでしょう」

と書いてありました。


続く


by santalab | 2013-09-13 07:14 | 落窪物語

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