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「落窪物語」巻四(その65)

かかるほどに、大臣おとど、御心地悩み給ひて、太政大臣返し奉り給へど、帝、さらに用ひ給はねば、「いといたう老いた侍れど、朝廷おほやけを見奉り侍らざらむが悲しさに、今まで参り侍りつるなり。今年なむ、慎むべき年に侍れば、このり侍らむと思ひ給ふるに。この族にては、朝廷のやむごとなからむまつりごとに参らせでは、便びんなかるべし。辞し奉る代りには、左大臣をなさせ給へ。ざえしうは侍らざめり。されば、翁よりも御後見はいとよろしく侍りなむ」と、后の宮して、せめて申させ給ひければ、帝「何かは。生きて物し給はむこそ、うれしからめ」とて、左の大臣おとどを太政大臣には、なし奉り給ふ。世の人「まだ四十になり給はで、位を定め奉ることよ」と驚き合へり。




やがて、太政大臣(左大臣の父)が、病気になって、太政大臣の位を下りようとしましたが、天皇は、まったく許されなかったので、太政大臣は「たいそう年老いましたが、参内できなくなることが悲しくて、今までお仕えしてきました。今年は、喪に服す年でもありますので、この折りに位を下りようと思っているのです。太政大臣であるわたしが、朝廷にとって大事な政治に関わらなくなれば、不都合もございましょう。わたしが位を下りる代わりに、我が子左大臣を太政大臣になさいませ。才能は、決して劣ることはございません。そうなされば、わたしなどより後見([家長・主人などの後ろだてとなって補佐すること])の心配はまったくございません」と、后の宮([皇后])から、強く申すように勧めたので、天皇は「承知した。太政大臣が生きているだけで、うれしく思うのだから」と申して、左大臣を太政大臣に、就けました。世の人は「まだ四十にもならないうちに、一番の位に就かれるとは」と驚き合いました。


続く


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by santalab | 2013-09-24 06:40 | 落窪物語 | Comments(0)

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