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「平家物語」頼豪(その1)

白河しらかはゐん御在の時、京極きやうごくおほ殿の御娘、后に立ち給ふことありけり。賢子けんし中宮ちうぐうとて、御最愛ありしかば、主上しゆじやうこの后の御腹に、皇子わうじ誕生たんじやうあらまほしう思し召して、その頃三井寺みゐでらに、有験うげんの僧と聞こゆる、頼豪らいがう阿闍梨を召して、「なんぢ、この后の御腹に、皇子誕生祈りまうせ。ぐわん成就じやうじゆせば、所望しよまうふによるべし」とおほせ下さる。頼豪畏まりうけたまはつて、三井寺にかへり、肝胆を砕いて祈りければ、中宮やがて御懐妊くわいにんあつて、承保しようほう元年十ニじふにんぐわつ十六日、御産平安、皇子御誕生ありけり。




白河院が在位の御時、京極大殿(藤原師実もろざね)の娘が、后になりました。賢子の中宮(藤原賢子。藤原師実の養女で白河天皇中宮)といって、白河天皇はとても寵愛していたので、主上(白河天皇)はこの后の子として、皇子が誕生すればよいと思って、その頃三井寺([今の滋賀県大津市にある園城寺])に、有験([祈祷を行い効き目がある僧])といわれていた、頼豪阿闍梨を呼んで、「お主よ、この后に、皇子が誕生するよう祈り申せ。この願が叶ったならば、お主の願いは思うがままぞ」とおっしゃいました。頼豪は畏まり承って、三井寺に帰って、一心に祈ると、中宮(賢子)はやがて懐妊して、承保元年(1074)十二月十六日、無事にお産、皇子が誕生しました。


続く


by santalab | 2013-10-28 23:49 | 平家物語

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