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「平家物語」信連合戦(その3)

信連のぶつらこれを見つけて、「あな浅まし。さしも君の御秘蔵ひざうの御笛を」とまうして、今五ちやうが内にて追つ付いてまゐらせたり。宮なのめならず御感ぎよかんあつて、「我死なば、この笛をば、御くわんに入れよ」とぞおほせける。「やがて御供仕れ」と仰せければ、信連のぶつら申しけるは、「ただ今あの御所、官人くわんにんどもがお迎ひに参りさふらふなるに、人一人いちにんも候はざらんは、むげに口しく存じ候ふ。そのうへあの御所に、信連が候ふと申すことをば、上下じやうげ皆知つたることでこそ候へ。




信連(長谷部信連)は笛(小枝)を見つけて、「なんということだ。あれほど君(高倉宮)が大切にしていた笛なのに」と言って、五丁([丁]=[町]で約109m)の間に追い付いて届けました。高倉宮はとてもうれしく思って、「わたしが死ねば、この笛を、棺に入れてくれ」と言いました。「すぐに供をせよ」と命じれば、信連(長谷部信連)が言うには、「今にも御所に、官人がやって来ると思いますが、人一人いないのが、とても悔しいのです。その上あの御所に、わたしがいるということは、身分の上下なく皆知っていることです。


続く


by santalab | 2013-11-04 08:26 | 平家物語

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