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「増鏡」新島守(その29)

また、信頼のぶより衛門ゑもんかみ、おほけなく二条院を脅かし奉りしも、つひに、空しきかばねをぞ、道のほとりに捨てられける。かかれば、経りにし事を思ふにも、なほさりとも、いかでか上皇今上数多あまたおはします王城の、いたづらに亡ぶるやうやはあらんと、頼もしくこそ思えしに、かくいとあやなきわざの出で来ぬるは、この世ひとつの事にもあらざらめども、迷ひの愚かなるまへには、なほいと怪しかりし。




また、信頼衛門督(藤原信頼。平治の乱(1159))が、身のほどもわきまえず二条院(第七十八代二条天皇)を脅かしましたが、遂に、無残な屍を、道のほとりに捨て置かれたのです。そうでございますれば、過ぎし昔を思い出してみましても、さすがに、上皇今上がたくさんおられる王城([都])が、あえなく滅びることはあるはずもないと、頼もしく思っておりましたが、こうして道理もない争いが起こって、この世ばかりのことではございませんでしたが、迷い([心が煩悩に乱され、悟りきれないこと])で愚かな時代には、不思議なことが起きるものでございます。


続く


by santalab | 2013-11-14 07:33 | 増鏡

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