人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Santa Lab's Blog


「平家物語」六箇度合戦(その4)

能登殿、「余すな、漏らすな」とて、散々に攻め給へば、安摩あま六郎ろくらう敵はじとや思ひけん、和泉いづみの国吹井ふけひの浦に立て籠る。また紀の国の住人、園辺の兵衛ひやうゑ忠康ただやす、これも平家に心よからざりけるが、安摩の六郎が能登殿にていたう攻められ奉て、和泉の国吹井の浦にありと聞いて、その勢百騎ばかりで、和泉の国へ打ち越えて、安摩の六郎、園辺の兵衛一つになつて、城郭じやうくわくを構へて待つところに、能登殿やがて押し寄せて、散々に攻め給へば、安摩の六郎、園辺の兵衛敵はじとや思ひけん、身柄は逃げてきやうへ上る。残り留まつて、防ぎ矢射けるつはものども、百三じふ余人が首斬つて、福原へこそまゐられけれ。




能登殿(平教経のりつね。清盛の弟教盛のりもりの次男)は、「余すな、漏らすな」と言って、散々に攻めたので、安摩六郎(安摩忠景ただかげ)は敵わないと思って、和泉国の吹井浦(和歌山県日高郡由良町吹井)に立て籠もりました。また紀伊国の住人、園部兵衛忠康(園部忠康)も、また平家をよく思っていませんでしたが、安摩六郎(忠景)が能登殿(教経)にひどく攻められて、和泉国吹井浦にいると聞いて、その勢百騎ばかりで、和泉国に向かい、安摩六郎(忠景)、園辺兵衛(忠康)はともに、城郭を構えて待ち受けました、能登殿(教経)はやがて押し寄せて、散々に攻めたので、安摩六郎(忠景)、園辺兵衛(忠康)は敵わないと思い、逃げて京に上りました。能登殿(教経)は残り留まって、防ぎ矢([敵の進撃を阻止するために射る矢])を射ていた兵たち、百三十人余りの首を斬って、福原に参りました。


続く


by santalab | 2013-11-18 16:31 | 平家物語

<< 「平家物語」六箇度合戦(その5)      「平家物語」六箇度合戦(その3) >>

Santa Lab's Blog
by santalab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
最新の記事
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧