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「承久記」官兵光季を攻むる事(その7)

館の内には少しも騒がず最後の酒宴して並み居たり。贄田こえだ三郎申しけるは、「京極西の大門をも高辻西の小門をも共に開いて、両方を防いで最後の合戦を人に見せ候はん」と申しければ、贄田右近申しけるは、「二つの門を開くならば、大勢込み入りて無勢を以つて支へ難し。大門をば差し固め、上土門ばかりを開きて、入らんかたきを暫し支へて後には自害せん」と申す。この義はよかりなんとて、京極おもてをば差し固め、高辻面計りを開きたり。




伊賀光季みつすゑの館の中では少しも騒がず最後の酒宴を開いていました。贄田三郎が申すには、「京極(京極大路)西の大門([正門])も高辻(高辻通り)西の小門をともに開いて、両方を防いで最後の合戦を人に見せましょう」と申すと、贄田右近が申すには、「二つの門を開いては、大勢の者が殿に入ってこちらは無勢だから防ぐことはできまい。大門は閉じて、上土門([平らな屋根の上に土をのせて造った門])ばかりを開いて、入って来る敵をしばらく防いで最後は自害しよう」と申しました。それがよいだろうと、京極面の大門は閉じて、高辻面の小門だけを開きました。


続く


by santalab | 2013-11-26 07:28 | 承久記

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