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「承久記」二位殿口説き事並び引出物の事(その2)

権大夫、駿河のかみを相具して二位殿に参ず。大名小名参り混みたり。庭にも隙なくぞ見えし。二位殿、妻戸の簾押上げ給ひて、先づ宇都宮を召されて、その後千葉の介・足利殿をぞ召されける。二位殿、秋田の城の介景盛かげもりを以つて仰せられけるは、「一院こそ長厳ちやうげん尊長そんちやう秀康ひでやす胤義たねよしらが讒言に付かせ給ひて、義時よしときを討たんとて、先づ光季みつすゑ討たれて候ふなり。君をも世をも恨むべきにあらず。ただ我が身の果報の拙きなり。女のめでたきためしには、我が身を世には引くなれども、我れ程物を嘆き心を砕くものあらじ。故殿に逢ひ始め奉りしより、父の誡・まことならぬ母の嫉み・男の行方・子の有様取り集めて苦しかりしに、打ち続きて国を取り人を従へ給ひしより、御身を仏神に任せ奉りし事、昼夜怠らず。




秋田城介景盛(安達景盛)をもって申すには、「一院(後鳥羽院)は長厳・尊長・秀康(藤原秀康)・胤義(三浦胤義)らの讒言([事実を曲げたり、ありもしない事柄を作り上げたりして、その人のことを目上の人に悪く言うこと])を信じて、義時(北条義時)を討とうと、まず光季(伊賀光季)を討たれました。わたしは君(後白河院)も世も恨んでおりません。ただ我が身の果報([前世での行いの結果として現世で受ける報い])が劣っていると思うばかりです。わたしは女ながら、幕府に身を置くものですが、わたしほど嘆き心を痛める者はいません。故殿(源頼朝)に逢った時より、父(北条時政ときまさ)の平氏への忠誠・愛情のない母(不明)のわたしへの妬み・男(兄弟たち)の将来・子(大姫)の有様(障害?)どれもこれも心苦しいことばかりでしたが、打ち続いて国を取り人を従えてより、我が身を仏神にお任せしております、勤行は昼夜怠ることはありません。


続く


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by santalab | 2013-12-16 08:55 | 承久記

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