宇都宮には御局と言ふ名馬に鞍置かせて、萌黄糸縅の鎧を引かせ給ふ。千葉の介には紫糸縅の鎧に長覆輪の太刀一腰、いづれも畏まつて賜はりけり。その後陸奥の六郎有時・城の入道・佐々木の四郎左衛門・武田・小笠原板東八箇国の宗との大名二十三人、代はる代はる召されて、色々の物を賜はる。
宇都宮(宇都宮頼業)には御局という名馬に鞍を置いて、萌黄糸縅の鎧を与えました。千葉介(千葉胤綱)には紫糸縅の鎧に長覆輪([太刀の隅から隅まで覆輪=金・銀などで縁取りし、飾りや補強としたもの。をかけ通したもの])を一腰を、いずれも畏まって賜りました。その後陸奥六郎有時(北条有時)・城入道(安達景盛)・佐々木四郎左衛門(佐々木信綱)・武田(武田信光)・小笠原(小笠原長清)ら坂東八箇国の主だった大名二十三人を、代わる代わる御前に呼んで、色々の物を与えました。
(続く)