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「義経記」判官北国落の事(その7)

武蔵も浄衣じやうゑ衣被きぬかづきして、一条いちでう今出川いまでがは久我こが大臣殿おほいどのの古御所へぞおはしましける。荒れたる宿のくせなれば、軒のしのぶに露置きて、まがきむめも匂ひあり。かの源氏の大将だいしやうの荒れたる宿をたづねつつ、露分け入り給ひける古きよしみも今こそ思ひ知られける。判官はうぐわんをば中門の廊下らうかに隠し奉りて、弁慶は御妻戸のきはまゐり、「人や御渡りさうらふ」と問ひければ、「いづくより」と答ふる。「堀川ほりかはの方より」とまうしければ、御妻戸を開けて見給へば、弁慶にてぞありける。




武蔵も浄衣の上に衣を引きかぶり、一条今出川の久我大臣殿の古御所を訪ねました。荒れたる宿でしたので、軒の忍草に露が置き、籬の外に梅が咲いていました。かの源氏大将(光源氏)が荒れた宿(明石?)を訪ねて、露を分け入った古い話が今思い出されるのでした。弁慶は判官(源義経)を中門の廊下に隠して、弁慶は妻戸([引き戸])の際まで近寄って、「人はおられますか」と訊ねると、「どちらから」と答える声がありました。「堀川(堀川六条館)の方より参りました」と申したので、妻戸を開けて見れば、弁慶が立っていました。


続く


by santalab | 2014-02-19 20:52 | 義経記

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