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「承久記」方々責口御固の事(その1)

主上上皇は、西坂本梶井の宮に入らせ給ふ。座主大僧正承円しようゑん参らせ給ひ、「内々御気色もなく御幸の条、末代の御誹りをも受けさせ給ひぬと思え候ふ。口惜しくも候ふものかな。用にも立ち候ふべき悪僧どもは、水尾が崎・勢多へ向ひ候ふ。急ぎ還御なりて、宇治・勢多を支へて御覧候へ。さりとも神明も御助け候はんずらん」と、泣く泣く申されければ、「げにも」と思し召し、十日四辻殿へ還御なる。




主上(仲恭ちゆうきよう天皇)上皇(順徳院)は、西坂本の梶井宮(京都市左京区大原にある三千院)に入られました。座主大僧正承円が参り、「内意([内々の意向])もなくお渡りになられては、末代の誹りを受けられるのではないでしょうか。残念なことです。役に立ちそうな悪僧([武勇に秀でた荒々しい僧])は、水尾崎(三尾の崎。現滋賀県高島市)・勢多(現滋賀県大津市瀬田)に向かわせました。急ぎ戻られて、宇治(宇治川)・勢多(瀬田川)を防ぎなさいませ。きっと神明もお助けくださることでしょう」と、泣く泣く申し上げれば、「もっともである」と思われて、十日に四辻殿(一条万里小路までのこうぢにあった御所)へ戻られました。


続く


by santalab | 2014-02-20 08:22 | 承久記

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