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「義経記」忠信最期の事(その1)

忠信ただのぶ敵のこゑに驚き起き上がり、太刀取りなほし、差しくぐみて見ければ、四方しはうに敵満ち満ちたり。遁れて出づべき方もなし。内にて独り言に言ひけるは、「始めあるものはをはりあり。しやうある者必ず滅す。その期は力及ばずや。屋島、摂津の国、長門ながとの壇の浦、吉野の奥の合戦まで、随分身をば亡きものとこそ思ひつれども、その期ならねば今日けふまで延びぬ。しかりとはいへども、ただ今が最期にてありけるを、驚くこそ愚かなれ。さればとて犬死にすべきやうなし」とて、ひしひしとぞ出で立ちける。




忠信(佐藤忠信)は敵の声に驚き起き上がり、太刀を手に取り、隠れるようにして外を見れば、四方に敵が充満していました。逃れ出るところはありませんでした。宿所の内で独り言を言って、「始めがあれば終わりがあるものよ生きる者は必ず死ぬ。その時が来るのは仕方ない。屋島(現香川県高松市)、摂津国、長門の壇の浦(現山口県下関市)、吉野の奥(現奈良県吉野郡)の合戦まで、随分命はないものと思ってきたが、その時ではなかったのか今日まで生き延びた。そうはいえ、今が最期と、驚くのも愚かなことよ。そうであっても犬死にするのはみっともない」と言って、ゆっくりと宿所から出て行きました。


続く


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by santalab | 2014-02-20 20:23 | 義経記 | Comments(0)

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