しかれども悪僧の申しけるは、「この度我らさし出でざらん事、山門の衆徒の後に言はんこと堪へ難し。日来弓矢たしなむ輩は、少々駆け出でて軍せばや」と言ひて、但馬の律師・讃岐の阿闍梨以下、平等院の律師らも五百余人向かひけり。
けれども悪僧([武勇に秀でた荒々しい僧])が言うには、「今回我らが向かわなければ、山門(延暦寺)の衆徒([僧])たちは後に非難するだろう堪えがたいことである。日頃弓矢を好む者たちは、少々でも駆け出て軍するべきだ」と言って、但馬律師・讃岐阿闍梨以下、平等院の律師たちも五百人余りが向かいました。
(続く)