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「義経記」如意の渡にて義経を弁慶打ち奉る事(その4)

されどもごんかみ、「何とものたまへ、船賃取らで、えこそ渡すまじけれ」とて渡さず。弁慶、「いにしへ取られたる例はなけれども、この僻事ひがごとしたるによつて取らるるなり」とて、「さらばそれさうらへ」とて、北の方の着給へるかたびら尋常じんじやうなるを脱がせ奉りて、渡し守に取らせけり。権の守これを取りてまうしけるは、「ほふに任せて取りては候へども、あの御坊ごばういとほしければまゐらせん」とて、判官はうぐわん殿にこそ奉りける。武蔵坊むさしばうこれを見て、片岡かたをかが袖を控へて、「をこがましや、ただあれもそれも同じ事ぞ」と囁きける。




けれども平権守は、「何とでも申すがよい、船賃を取らずに、渡すものか」と言って船を出しませんでした。弁慶は、「今まで取られたことはないが、つまらん口論したせいで取ろうとするのか」と申したので、平権守は「分かっておるなら船賃を払え」と言いました、弁慶は北の方(さと御前)が着ていた帷([大帷]=[装束の下に着る衣])の尋常([優れたもの])のものを脱がせて、渡し守に取らせました。平権守はこれを受け取って申すには、「決まり通り取り船賃を取ったが、あの御坊がかわいそうなので与えよう」と言って、判官殿(源義経)に与えました。武蔵坊(弁慶)はこれを見て、片岡(片岡常春つねはる)の袖を引いて、「ばかなやつだ、あれでは取らぬも同じではないか」と耳打ちしました。


続く


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by santalab | 2014-02-24 08:09 | 義経記 | Comments(0)

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