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「滝口入道」恋闇(その4)

滝口の胸はなびきの如く乱れ、とつおいつ、あるひは恨み、あるひは疑ひ、あるひは惑ひ、あるひは慰め、去りては来たり、往きては還り、念々不断の妄想、流れは千々に変はれども、落ち行く末はいづれ同じ恋慕の淵。迷ひのきづな目に見えねば、勇士のやいばも切らんにすべなく、あはれや、鬼もひしがんず六波羅一のがうの者、いつの間にか恋のやつことなりすましぬ。




滝口(斎藤時頼ときよりの心は靡き([竿の先端を細く作って風にしなうようにしたもの])のように乱されて、あれこれ思い悩むのでした、ある時は恨み、ある時は不安に思い、ある時はどうしてよいか分からなくなって、そしてある時は我が身を慰めました、ある思いが去ったかと思うと甦り、過ぎたかと思うと戻ってきました、とめどなく湧き上がる妄想は、その時々で移り変わっては行くものの、落ち着く先はどれも同じ恋慕の淵に沈むものばかりでした。心乱れて赤い糸も目に見えませんでしたが、かといって勇士の刃をもって絆を切ることもできませんでした、哀れな時頼は、鬼をも圧倒するほどの猛者でしたが、いつの間にか恋の虜となっていました。


続く


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by santalab | 2014-03-04 23:39 | 滝口入道

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