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「滝口入道」託命(その2)

時頼ときより、さてはそちが目にも世は盛りと見えつるよな。盛りに見ゆればこそ、衰へん末の事の一入ひとしほ深く思ひ遣らるるなれ。弓矢の上に天下を与奪するは武門の習ひ。遠き故事を引くにも及ばず、近きためしは源氏の末路。仁平にんぺい久寿きうじゆの盛りの頃には、六条判官殿、いかでかその一族の今日あるを思はんれんや。に居て乱を忘れざるは長久の道、栄華の中に没落を思ふも、ただに重盛しげかげが杞憂のみにあらじ」。




重盛「時頼(斎藤時頼)よ、お主の目にも世は平家の盛りと見えておるのだな。盛りと思えばこそ、衰亡の後のことをなおさら深く思うものなのだ。弓矢をもって天下を与奪するのが武門の習い。遠い昔の故事を引くまでもなく、近い例は源氏の末路ぞ。仁平(1151~1154)、久寿(1154~1156)の源氏の盛りに、六条判官殿(源為義ためよし義親よしちかの子で祖父義家よしいへの養子)が、どうして源氏一族の今日の様を想像できたであろうか。平和であっても乱を忘れないのは永遠を思ってのこと、栄華の中に没落を思うのは、ただわしの杞憂([中国古代の杞の人が天が崩れ落ちてきはしないかと心配したことから、必要のないことをあれこれ心配すること])というわけでもなかろう」。


続く


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by santalab | 2014-03-06 09:13 | 滝口入道

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