俊蔭、天人ののたまふに従ひて、花園より西を指して行けば、大いなる川あり。その川より孔雀出で出て、その川を渡しつ。琴をば、例の旋風送る。それより西へ行けば、谷あり。その谷より龍出で来て、越しつ。琴は、旋風送りつ。それより西をなほ行けば、険しき山七つあり。その山より仙人ありて、越しつ。それより西を行けば、虎、狼一山騒ぐ所あり。象出で来て、その山を越しつ。それより西へ行けば、七つの山に七つの人ありて、言ひしがごとくに住む所に至りぬ。
俊蔭は、天人の言う通りに、花園より西を目指して行くと、大きな川に出会いました。すると川より孔雀が現われて、川を渡してくれました。琴は、同じように旋風が届けてくれました。それより西へ行くと、谷がありました。谷から龍が現われて、谷を越えることができました。琴は旋風が届けてくれました。それよりさらに西へ行くと、険しい山が七つありました。山には仙人がいて、山を越えることができました。それよりも西へ行くと、虎、狼が山中で声を立てている所がありました。象が出てきて、その山を越えることができました。さらに西へ行くと、七つの山に七人の人がいて、天人の言った通り、七人の子どもが住む場所にたどり着きました。
(続く)