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「大鏡」宇多天皇(その4)

この帝の、只人になり給ふほどなどおぼつかなし。よくも覚え侍らず。御母、洞院とうゐんの后と申す。この帝の、源氏にならせ給ふこと、よく知らぬにや、「王侍従わうじじゆう」とこそ申しけれ。陽成院やうぜいゐんの御時、殿上人てんじやうびとにて、神社行幸ぎやうかうには舞人まひびとなどせさせ給ひたり。位に就かせ給ひて後、陽成院を通りて行幸ありけるに、「当代たうだい家人けにんにはあらずや」とぞ仰せられける。さばかりの家人持たせ給へる帝も、あり難き事ぞかし。




宇多天皇(第五十九代天皇)が、臣籍降下されておられた時のことは分からん。よく覚えておらんのじゃ。母は、洞院の后(班子なかこ女王)と申された。宇多天皇が、源氏になられたことを、よく分かっておられなかったのか、「王侍従」と呼んでおられたそうじゃ。陽成院(第五十七代陽成天皇)の御時、殿上人として、神社行幸には舞人などをされておったんじゃ。帝位に就かれた後、陽成院(現京都市中京区にあったらしい)を通って行幸された時、陽成院が「当代はわしの家人ではないか」と申されたそうじゃ。天皇を家人に持たれた帝は、めったにおらんじゃろうの。


by santalab | 2014-05-08 08:43 | 大鏡

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