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「承久記」京方の兵誅戮の事(その5)

二位の法印尊長そんちやうは、吉野十津川に逃げ籠りて、当時は搦め取られず。清水寺の法師鏡月きやうげつ房、その法師弟子常陸房、美濃の房三人搦め取らる。既に斬らんとするところに、「暫く助けさせ給へ。一首の愚詠ぐえいを仕り候はばや」と申しければ、「これ程の隙は給はるべし」とて差し置くに、

勅なれば 命は捨てつ 武の 八十宇治川の 瀬には立たねど




二位法印尊長は、吉野の十津川(現奈良県吉野郡十津川村)に逃げ隠れて、その当時は捕えられませんでした。清水寺の法師鏡月房、鏡月房の弟子常陸房、美濃房の三人は捕えられました。既に斬られようとしましたが、鏡月房が「しばらく待ってください。一首の愚詠([自作の詩歌])を詠みたいのです」と申したので、「それほどの隙なら与えよう」と言って太刀を置いたので、

勅命ならば、命を捨てよう。「武州騎西郡八十」(『武州文書』。「市場之祭文」=市を開くにあたって神前で読み上げられた祭文)を立てることもできず、立つ瀬もないわたしではあるが。


続く


by santalab | 2014-05-09 07:15 | 承久記

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