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「曽我物語」虎を具して、曽我へ行きし事(その1)

かくて、月日を送りけるが、定むる妻持つべからずとて、ただ虎が情けばかりに引かれて、折々をりをり通ひ馴れける。互ひの心ざしの深さは、たたふつくんにも劣らず、千代万世よろづよとぞ契りける。そもそも、この虎とまうすは、母は、大磯おほいそ長者ちやうじや、父は、一年ひととせあづまに流されし、伏見の大納言実基卿さねもとのきやうにてぞましましける。男女なんによの習ひ、旅宿りよしゆく徒然つれづれ、一夜の忘れ形見なり。




こうして、祐成(曽我祐成すけなり)は月日を送っていましたが、決まった妻を持ちたくはないと、ただ虎御前(大磯の遊女。祐成の妾)の情けに引かれて、時々通うようになりました。互いの心ざしの深さは、たたふつくん(ただ布都姫ふつひめか?布都姫=三穂津姫命で、大国主命が二心なき証しとして娶ったといいます)にも劣らず、祐成と千代万世を契ったのでした。そもそも、この虎御前と申すは、母は、大磯宿(現神奈川県中郡大磯町。東海道五十三次の八番目の宿場)の長者([宿場の遊女屋の主人])、父は、一年東国に流された、伏見大納言実基卿(藤原実基か?実基が流罪になったのは1206年のことで、時代が合わない)でした。男女の習いと言いましょうか、旅宿の徒然の、一夜の忘れ形見でした。


続く


by santalab | 2014-05-10 22:13 | 曽我物語

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