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「竹取物語」(その38)

日暮れぬれば、かのつかさにおはして見給ふに、まこと、つばくらめ巣作れり。倉津麻呂くらつまろ申すやう、尾浮けてめぐるに、荒籠あらこに人を上せて、吊り上げさせて、燕の巣に手をさし入れさせて探るに、「物もなし」と申すに、中納言、「悪しく探ればなきなり」と腹立ちて、「誰ばかり覚えむに」とて、「我、上りて探らむ」とのたまひて、籠に乗りて吊られ上りて、窺ひ給へるに、燕、尾を捧げていたくめぐるに合わせて、手を捧げて探り給ふに、手に平める物さはる時に、「我、物握りたり。今は下ろしてよ。おきな、し得てたり」とのたまひて、集まりて、く下ろさむとて、綱を引き過ぐして、綱絶ゆるすなはちに、八島のかなへの上に、のげざまに落ち給へり。




日が暮れて、中納言が大炊寮にやって来て見てみると、本当に、燕が巣を作っていました。倉津麻呂が話したとおりに、燕が尾を上げてまわりだしたので、籠に人を乗せて吊り上げて、燕の巣に手を差し入れて探させましたが、「何もありません」と言ったので、中納言は、「適当に探すから見つからないのだ」と腹を立てて、「わしの他に誰も『燕の子安貝』の取り方を知っておらん」と思い、「わしが上って探す」と言って、籠に乗って吊上げられました、燕の動作を窺っていると、燕は尾を上げてぐるぐる回り出したのでそのタイミングに合わせて、手を巣に突っ込んで探せば、手に平べったい物が触れました、「わしが、子安貝を取った。今すぐに降ろしてくれ。この倉津麻呂が、してやったり」と言いました、家来たちは集まって、急いで降ろそうとしましたが、綱を強く引きすぎたので、綱が切れたかと思うとあっという間に、中納言(石上麻呂足いそのうえのまろたり)は八島の鼎の上に、仰向けで落ちてしまいました。


続く


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by santalab | 2014-05-17 09:41 | 竹取物語

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